Art Curator Japan

アート・キュレーター・ジャパン と日本のアート

アート・キュレーター・ジャパン (ACJ)は、 日本のアート を世界に紹介すべく、2016年に開設されました。近年、欧米では、ビジネスの経営において、直感や感性といったアート的マインドの重要性が認識されるようになりました。美意識を磨くことが、ビジネスの成功にも繋がるという思考は、今後ますます浸透してくるでしょう。アートの市場規模も年々大きくなっている中で、日本のアートへの注目度は増しています。私どもは、アート・キュレーター・ジャパンの開設以来、ウェブサイトおよびSNSで日本のアートを主として英語で紹介するほか、海外で展覧会を開催するなどの活動を行って参りました。

我々の生きる現代は、あらゆる情報が氾濫し、それを瞬時に取捨選択することを迫られる世界です。膨大なデータが高速で駆け巡る21世紀の日常で、我々はともすれば不要な情報に振り回されて本質を見失ったり、目まぐるしいスピードに疲弊させられたりしています。こうした現代にこそ、アートの力が必要です。アートを鑑賞する時、人は物事の本質や自分の内面と向き合います。美術館で作品に向かうひとときは、鑑賞者にとって非常に濃密で個人的な時間になるでしょう。この時代だからこそ、連綿と育まれてきた美意識の結晶である日本のアートを広く紹介する意義があると、私どもは考えています。

Masato Shigemori

日本のアートへの憧れ

19世紀西欧において、日本の美術・工芸は大きな注目を集め、ジャポニスムは一過性のブームに留まらず、西洋美術界に多大な影響を与えました。アート・キュレター・ジャパンでは、これまでフランスや台湾で日本のアートを紹介する展覧会を行って参りましたが、日本のアートに対する熱意を肌で感じられた素晴らしい機会となりました。特に、フランスで2018年に開催した展覧会『日仏現代アート展「ネオ・ジャポニスム~共鳴 2018」』では、会場となったアートセンターの入館者数記録を塗り替えるなど、日本のアートに対する関心の高さが感じられました。また、中華圏での日本のアートの根強い人気は健在で、奈良美智や草間彌生をはじめとするビッグネームから若手まで、アートフェアでは出展作品が完売する作家も多く見受けられます。中には、フェア開始直後に完売する作家もいるほど、日本のアートへの熱意・期待は年々高まってきていると言えるでしょう。

一般的に、日本人には繊細な美的センスが備わっていると言われています。万葉の昔から、雪月花などの自然や、惜別の情、人を恋する心といった森羅万象を繊細な表現を尽くして描写してきました。『万葉集』には、実に多様な人間の営み、自然との関わりが鮮やかに描かれています。

科学では「共感覚」を次のように定義します。「ある音を聞いた時、その音の色が見えるというように、五感の一つ刺激が、別の五感の感覚を生じさせる」。この共感覚の現象が、日本人の感性に現れていると言えるでしょう。例えば歌舞伎では、雪が深深と降る様が低い太鼓の音で表されます。実際雪が降るのに音はしませんが、太鼓の音があることにより、静寂の中に雪が淡々と降っている情景が鮮やかに表現されます。また風鈴も良い例で、我々日本人は暑い夏の日、風に揺られて鳴る風鈴の音によって涼しさを感じます。着物の柄や漆器など、その他の伝統工芸も、そうした五感を刺激することを目的に製作されてきたのでしょう。

こうした共感覚は、日本美術、伝統文化や日常生活に深く浸透しています。我々日本人が潜在的に持っている美意識の具現である日本のアートは、世界中に驚きと発見を与え続けているのです。